在籍型出向⽀援プロジェクト

熊本県

セミナーレポート② Event

2022年02月10日

昨今のコロナ禍による地域経済の落ち込み、雇用の低下の対策として注目される「在籍型出向」。社員が在籍したまま出向先とも雇用契約を結ぶ新しい働き方を、熊本県でも推進しています。

先般「在籍型出向で雇用を守る」と題し、セミナーを開催しました。

制度の仕組みや助成金の活用方法などを紹介し、活用をご検討いただくものです。 急激なコロナウイルス感染症の蔓延を受け、来場は中止となりましたが、セミナー及び相談会・マッチング会をすべてオンラインにて行い、多くの経営者や人事・労務担当者の方々にご参加いただきました。

当日は株式会社コスギ不動産ホールディングス(以下、コスギ不動産) 代表取締役会長 小杉康之氏をゲストに、公益社団法人産業雇用センター熊本事務所所長(以下、産業雇用センター)  石丸健一氏をコーディネーターに迎え、実際の導入事例についてもご紹介しました。

「即戦力となる優秀な人材を受け入れられる」

在籍型出向制度を利用し、九州旅客鉄道株式会社の人材を受け入れているコスギ不動産の小杉会長は、本制度を「企業にとって有効」だと評します。

「出向元企業が社員教育を徹底されていることもあり、即戦力の人材だと感じています。入社後は営業庶務として活躍されていましたが大変優秀であるため、今年から会長秘書に異動となりました。出向期間である2年間が有意義なものになるよう、さまざまな部署で経験を積んでいただきたいと考えています」

異業種間での出向も盛ん

熊本県で30年以上出向を仲介してきた産業雇用センターでは、コロナ禍(2020年〜)においても在籍型出向の相談を受けてきました。

・直近2年間の出向成立は、18件(のべ69名)。

・2021年の相談は、約95件。そのうち出向送出の相談は約20件で、受け入れ相談の方が多い。

・コロナ禍以前は、製造業の大企業同士が出向制度を活用するケースが多かった。

・コロナ禍以降、ホテル業からサービス業、小売業から飲食業、製造業から医療関係、広告業から印刷業、ホテル業から飲食業といった異業種での事例が見受けられる。

また⽊原稔衆議院議員のビデオメッセージ内では、航空会社の事例が紹介されました。

・国際線の客室乗務員は、仕事が激減した。

・客室乗務員が家電や高級車の販売を行ったところ、接客スキルの高さを活かした仕事ぶりを発揮した。

・トップセールスを記録した事例もあり、出向社員たちはやりがいを持って働いている。

・出向社員が、期間後は本来望んでいた仕事に戻れる安心感を持てることが特長。

在籍型出向を支援する「産業雇用安定助成金」

在籍型出向を導入する際には、産業雇用安定助成金を活用することができます。

【出向契約締結から助成金申請までの流れ】

在籍型出向契約の締結

出向開始の前日までに「計画届」を労働局へ提出

計画届の受理後、要件の審査

出向開始

支給申請書の提出

審査後、支給決定・振込

第2回目の支給申請

・本人の同意書は必須。

・出向元の生産指標の要件、出向先の解雇要件と雇用維持要件を満たすことが条件。

・助成金申請は社労士に相談することができる。

・申請から支給までの期間は、初回は約2カ月、2回目以降は約1カ月。

・助成対象期間は1人あたり1年間。

在籍型出向を通した雇用維持は社会貢献であり、地域経済の活性化にもつながります。

今後も熊本県では普及促進の取り組みを行なっていきますので、ぜひご検討ください。

支援制度をうまく活用して、この難局を皆で乗り越えましょう。