在籍型出向⽀援プロジェクト

熊本県

セミナーレポート① Event

2022年02月01日

昨今のコロナ禍による地域経済の落ち込み、雇用の低下の対策として注目される「在籍型出向」。社員が在籍したまま出向先とも雇用契約を結ぶ新しい働き方を、熊本県でも推進しています。

先般「在籍型出向で雇用を守る」と題し、セミナーを開催しました。

制度の仕組みや助成金の活用方法などを紹介し、活用をご検討いただくものです。

急激なコロナウイルス感染症の蔓延を受け、来場は中止となりましたが、セミナー及び相談会・マッチング会をすべてオンラインにて行い、多くの経営者や人事・労務担当者の方々にご参加いただきました。

今回は当日のセミナーでご説明した、制度のポイントについてご紹介します。

在籍型出向のポイント

・出向元・出向先企業間で契約を結び、出向者は出向元との雇用関係を維持したまま、新たに出向先と雇用契約を結ぶ。

・必ず出向者の同意の上、実施される。

・契約時に定めた期間が終了した際、出向元に復帰することが前提。

・出向運営経費、出向初期経費の一部を助成する「産業雇用安定助成金」は、出向元・出向先の双方の事業主が対象となる。

在籍型出向はWin-Winの制度

本セミナーには「産業雇用安定助成金」の創設に尽力した⽊原稔衆議院議員よりビデオメッセージが寄せられ、以下の要点をご説明いただきました。

・雇用調整助成金は需要がある反面で、休業により労働者の能力が十分に発揮されていないという懸念があった。

・在籍型出向はやりがいを持って働き、それに対して賃金を得るという本来あるべき姿に戻れる制度。

・従業員の所得が増えれば、消費が増え、GDPが上がり、税収が増え、分配施策につながるといった経済の好循環を生む。

・有効求人倍率が高い現状でも、受け入れ企業は優秀な人材を確保できる。

・同業他社や異業種で働いたスキルや知識、人脈を持ち帰ってもらえるため、送り出し企業にとってもメリットは大きい。

雇用調整以外にもメリットは多数

受け入れ企業・送り出し企業がWin-Winの関係を実現できる在籍型出向。

「出向は片道切符と言われ単なる雇用調整の手段のひとつとされていたが、本制度は出向者の同意の上行われる。出向者本人にとってはスキルアップの、企業にとっては人材交流・企業連携の機会となる」と産業雇用安定センターの石丸所長も話すように、メリットは多岐にわたります。

【出向元企業のメリット】

・大切な従業員の雇用を維持できる

・一時的に人件費負担を軽減できる

・優秀な人材の流出を防げる

・出向者が異業種での経験を持ち帰ってくる

【出向先企業のメリット】

・人材確保の可能性が広がる

・優秀な人材とマッチングできる

・出向者は即戦力として期待できる

・出向者によって社内が活性化する

【出向者のメリット】

・失業を阻止できる

・期間後は本来の職場に復帰できる

・ブランク(休業)なく継続して働ける

・キャリアアップを図れる

メリットの多い在籍型出向は、アフターコロナでも活用できるスキームと言えます。

現時点では難しくても、将来的な導入に向けて準備することは大切です。

今後も熊本県では普及促進の取り組みを行なっていきますので、ぜひご検討ください。